焦点
学生が主体的に考える「健康」の意味―公開シンポジウム「健康とは何か?」に参加して
高島 尚美
1
1筑波大学大学院人間総合科学研究科看護科学系
pp.859-861
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100504
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「健康」を学ぶ意義
「健康とは何か?」人がこれを考えるのは,自分の健康が障害された時なのだろう。恐らく大病をしたこともないであろう医療系以外の学生たちが,さまざまな視点から「健康」について討議する様子をみて,新鮮さを感じた。日頃看護学生とともに患者の病気の回復や健康を,あるいは安寧な死を支援する目的で看護を実践しているにもかかわらず,「健康」そのものの意味に触れる機会は意外と少ない。もしかしたら看護を経験している学生自身の中では大きな問いになっていることかもしれない。しかし日々の授業においては「人には身体的,心理的,社会的健康がある」「健康とは適応すること」といったフレーズを使って「健康」を説明不要の前提概念としてしまい,その意味をあえて問いづらいような状況があるのかもしれない。
シンポでは,シンポジストの学生たちが心理学・医学・社会科学・代替医療の4班6グループに分かれ,それぞれの立場からの健康観を発表する。その発表は,健康の意味をあらためて考える契機を与えてくれるものであり,医療を提供してきた者にとって,また看護学生に教える立場の者にも,示唆に富む内容であった。
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