- 有料閲覧
- 文献概要
2012年(平成24年)10月7日に慶應義塾大学三田キャンパスにおいて慶應義塾大学先導研究センター公開シンポジウム「高めよう!認知症の生活スキル―行動リハビリテーションの展開」が開催されました.このシンポジウムは三菱財団の社会福祉研究助成を受けて,参加費無料で実施され,OT・PT・ST・介護福祉士等,さまざまな職種の114名が参加されました.また,東京会場と北海道会場とをインターネットで結び,北海道の会場に講演内容が配信されました.北海道会場では53名が視聴され,今後もインターネット配信の有用性が高まっていくことを感じました.
シンポジウムのはじめは,聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院の大森圭貢氏による「応用行動分析学の基礎」の講演が行われました.講演では行動制御の法則や原理等の基礎的な内容について日常生活場面を例に提示しながら具体的な説明があり,実際のリハ場面での活用方法や学生指導等のへの応用例についての紹介がありました.続いて,高知リハビリテーション学院理学療法学科の山﨑裕司氏による「認知症患者に対する行動リハビリテーション」の講演が行われました.講演では認知症患者に対する日常生活動作練習場面での行動リハビリテーションに関する具体的な方法論や介入のポイント等についての説明があり,介入方法やその効果等について実際の研究データをふまえて解説してくださいました.特に無誤学習過程を計画することで動作学習が促進されることや,問題行動のみに着目せず適切な行動を定着させるように動作練習を行っていくことがとても重要であるということがとても印象に残りました.最後は,了徳寺大学健康科学部の加藤宗規氏による「事例紹介」の講演が行われました.動作学習が困難な認知症患者に対して,文字教示や口頭指示等の手がかり刺激を活用することでトイレ動作が獲得できた事例や手がかり刺激を徐々に減らしていく技法を用いることによって移乗動作が獲得できた事例等の紹介がありました.以上の3講演の後に,新潟医療福祉大学の鈴木 誠氏から,三菱財団社会福祉研究助成「高齢アルツハイマー病患者に対する支援プログラムの構築:筋力および生活自立度の改善を目指して」の概要に関する説明がありました.
Copyright © 2013, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.