特集1 看護学生の論文 入選エッセイ・論文の発表
論文部門
温熱効果と安楽性を得るための手浴で患者の反応から学んだこと
井上 弥香
1
,
佐藤 裕美
1
1新日鐵八幡記念看護専門学校
pp.689-691
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100347
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はじめに
今回,手指の拘縮,可動域制限から生活行動に援助が必要ながらも,看護師に手間をかけたくないという思いを強くもち,生活行動援助を拒否する傾向にある患者を受け持った。看護における生活行動援助について川島は,「生命を維持する生理学的なメカニズムの上に,より人間らしく生きようとする個人の文化的価値観や生活習慣と,その人をとりまく環境因子などの影響を配慮して行う援助活動である」1)とその必要性を身体,精神,社会的な3側面から述べている。患者がセルフケアに積極的になり,意欲の向上がはかれることを目的に看護過程を展開した。
しかし,私たちは最初の手浴援助で患者に疲労感を与えてしまった。そのため,安楽の提供が必要であると思い,患者の状況に配慮した手浴方法を追求した。その結果,患者の表情や言動は,私たちの援助に満足したものとなり,セルフケアに対しての意欲の向上もみられた。
患者との関わりから,患者一人ひとりの状態に合わせた方法を考えることこそが患者の安楽,QOL向上につながることを学んだので報告する。
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