特集 「気持ちのいい」ケアを教えよう!
語りを引き出し,希望をつなぐ─気持ちのいい手浴
矢野 理香
1
1北海道大学大学院保健科学研究院保健科学部門
pp.356-361
発行日 2016年5月25日
Published Date 2016/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200496
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手浴とはどのようなケアなのか
健康な私たちの手洗いは,日常的に行っていることである。その意味では,手浴は人々の日常生活を保障するケアであるとも言える。また,手浴は,手を清潔にするだけでなく,湯の中で,患者と看護師の手が触れ合い,双方に気持ちよい感覚をもたらすケアでもある。看護師が患者の手に触れ,コミュニケーションをとるなかで,単に手を洗うという行為以上の効果が患者にも看護師にもあると感じている。
私が脳神経外科の臨床において,手浴を意図的に実施するようになったのは,麻痺のある脳卒中患者の「ご飯を食べても,食べづらくて,手がうまく動かなくて,途中から疲れて,もうご飯いらないってなるんだ。おいしくないんだよ」と話してくれた一言からだった。楽しんで,おいしく食べてもらう時間であるはずの食事を何とか取り戻せないのだろうかと思った。
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