連載 ユースカルチャーの現在・63 最終回
学力低下問題を考える(2)―佐藤学『学力を問い直す』を読む
渡部 真
1
1横浜国立大学教育人間科学部
pp.1098-1101
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100187
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登場人物
A 大学教師:教育関連学部で社会学を教えている。50歳台,男性。
B 大学生:教育関連学部の4年生。20歳台,男性。
はじめに
A 今回は前回に引き続き,学力低下の問題を取り上げましょう。教育学者の佐藤学さんの『学力を問い直す―学びのカリキュラムへ』(岩波書店)という本を参考にさせてもらいます。本の経歴の欄によりますと,佐藤さんは東京大学大学院・教育研究科の教授で,1951年生まれです。教育方法学が専門で,『教育方法学』『教育改革をデザインする』『カリキュラムの批評』『学びの快楽』などの本があるそうです。
B どんな研究者なんですか?
A 僕は不勉強で,これまで,ほとんど佐藤さんの著作を読んだことがありませんでした。授業に関する専門家です。東大教育学部の中でも大変に人気のある先生で,大学院入試などでは,彼の研究室に入りたい志願者が大学外からも殺到するそうです。
B 今回取り上げるのは,どのような本なのですか?
A 前回の『学力低下と新指導要領』と同じ岩波ブックレットの一冊で,62ページの薄く読みやすい本です。2001年に刊行されました。佐藤さんは,このシリーズで『「学び」から逃亡する子どもたち』『習熟度別指導の何が問題か』という本も書いています。
この本は「混乱する学力問題」「学力の実態―何が問題か」「危機の背景―『学力神話』の崩壊」「『基礎学力』の復古主義をどう克服するか」「習熟度別指導,少人数指導は有効か」「子どもの『学び』を支えるために」の6章からできています。学力問題を考えるにあたって避けて通ることのできない重要なポイントを,きちんと押さえている本だと思います。
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