特集 新カリキュラム助産婦教育の1年(Ⅰ)
新カリキュラムに基づく教育の展開
学力と人格の統合をめざした教育—大阪大学医学部附属助産婦学校
増 洋
1
1大阪大学医学部附属助産婦学校
pp.620-626
発行日 1991年7月25日
Published Date 1991/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900368
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こうとらえた新カリキュラム
筆者が,当大阪大学医学部附属助産婦学校に1981年に就任して以来8年経過後の1989年,カリキュラム改正(保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則の改正)という予期しなかった大きな経験をすることになった。これも前世からの縁と心得,とにかく,新カリキュラムという相手をよく知ろうと考え,6月の厚生省・文部省の説明会はもちろん,その他の研修会等,すべてに出席し情報を収集した。
収集した情報を整理してみると,今回の改正案の概要は,近年の医療の高度化,社会情勢の変化に伴い,看護職が専門的知識や技術とともに,優れた観察力,判断力,応用能力を求められるようになっていることがわかった。それに対応できる諸能力の養成をめざすに至ったという背景もわかった。さらに,助産婦課程は助産婦として実践活動ができる基礎的能力を育成することによって,母子および家族の健康に貢献し,地域母子保健の充実ならびに助産実践の向上に寄与することを目標とし,妊産褥婦・新生児および乳幼児の健康審査,保健指導を行なうのに必要な知識と技術を習得させるとともに,ライフサイクル各期に対応できる能力を育成すること,また人間の生殖や性の課題に携わることから,対象のもつ心理,社会面や人間の行動の基盤となる性科学に関する学習を深め,助産を全人的に把握し,それに対応できるよう必要な能力を育成することとなったのである1)。以上のことを筆者は理解した。
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