特別記事 野生ザルの研究一筋の伊澤紘生氏に聞く
サルに教えられた「競争」と「競争の裏側」の論理(2)
伊澤 紘生
1
,
堀 喜久子
2
1宮城教育大学環境教育実践研究センター
2神奈川県看護協会
pp.126-131
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100007
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競争の弊害をなくすには「競争の裏側」の論理をもってきて対処すればいい。
伊澤 私たちの文化や文明がまさに同じでしょう。これだけ競争に明け暮れして,さまざまな素晴らしいものを生み出してきた。しかし,同時に,戦争とか,虐待とかいじめとか,あらゆるえげつなさも生んできた。私たちは,競争の論理のもっているいい面と悪い面をいかに認識するか。それには,競争の裏側の論理がちゃんとわかっていなかったらどうしようもないということです。そういうことを徹底的に教えてくれたのがサルなのです。
たとえば,面白い例だけど,10年ほど前,いじめや虐待,不登校,校内暴力など,小学校で激化しつつあるさまざまな問題への対処として,当時の文部省は「競争をあおるようなカリキュラムをなくすように」と通達を出したのです。
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