看護教育研究
看護の国際協力を推進するための看護教育のあり方―国際協力の経験をもつ看護職の調査結果をもとに
甲斐 仁美
1
,
佐伯 圭一郎
1
,
影山 隆之
1
,
草間 朋子
1
1大分県立看護科学大学
pp.134-139
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100009
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はじめに
近年,あらゆる分野・領域で国際化が進んでおり,看護の領域においても例外ではない。看護学の国際化への対応として,重要な活動の一つが国際看護協力であり,開発途上国における国際協力の現場において活躍する日本人の看護職者の数は年々増加している。JICA(独立法人国際協力機構)からは,2003年までにODA(政府開発援助)の一環として開発途上国へ,看護職者の青年海外協力隊員(以下協力隊員)延べ1,472人が派遣されている1)。また,NGOから同様に派遣された看護職者は,これまでに1,000~1,500人と推測されている2)。
このような現状にもかかわらず,国際保健医療の科目を設置し系統的な教育を実施している看護教育機関は,1997年の調査3~5)では,大学45.1%,短期大学11.6%,看護学校24.5%にすぎず,国際化にむけた人材育成に関する対応が,わが国においては十分になされているとはいい難い。そこで本稿では,海外に派遣され国際協力を経験した看護職者を対象とした実態調査を行い,その調査結果を基に,看護の国際協力を推進していくための看護教育のあり方について提言することとする。国際化の時代を迎えた今,看護基礎教育の中で国際協力のための看護教育を取り入れ,対応できる状況を構築する必要があると考えるからである。
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