特別記事 パソコンで描くイラストレーター・梶山シゲルの世界
今日を生きるからこそ明日がある―25年目にして施設生活から卒業してイラストを描く僕
梶山 シゲル
pp.122-125
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100006
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「発病したのはいくつの時ですか?」
僕と話す人はまず間違いなくこの質問をする。11歳の夏休みに地元の大学病院に連れて行かれた。熱も腹痛もないのに,何でこんな大きな病院に来たのか? 理由は子ども心にもボンヤリ理解していたと思う。体育の授業に全くついていけず,階段の昇降など学校生活にも困難を感じてきた「足」を病院で検査するのだろうと思っていた。
何かの病気だったらどうしようという不安はなかった。むしろ病気であったほうが救われるとさえ思っていた。何をやっても「ノロマ」「グズ」と同級生から笑われ,いつしか体育など苦手なものから理由をつけては逃げるようになっていた。大人たちからは「負けるな!」と励まされるのだが,毎日がたまらないストレスだった。病気でも何でもいい,“友達と同じようにできないこと”“友達のスピードについていけないこと”が,決して自分のせいではないと誰かに証明してほしかった。
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