調査報告
医療情報サービスとしての電話相談のあり方について—電話相談の実際をとおして
磯野 富美子
1
,
山崎 美代子
1
,
春日 常
1
1(株)テス健康事業部
pp.308-312
発行日 1997年4月10日
Published Date 1997/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902864
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●要約
近年,電話による医療・健康相談が各所で開設され,多くの人に利用されている。電話相談に従事した経験から,相談者の背景を明らかにし,現代社会における電話健康相談の必要性とカウンセラーとしての看護職のあり方について考えてみた。
電話相談の利用者は中高年の女性に多く,相談対象の約7割が本人であった。また,相談の利用回数は1回のみが約7割を占め,所要時間は10分前後が多かった。
相談内容では,自覚症状と受診不安に関するもので全体の半数を越えており,他には,健康知識や健診結果に関するものが多かった。自覚症状の訴えに対して,受診が必要と思われた例は約3割であった。受診不安については,医師が当然説明しているはずの病気の症状・治療法・予後などの説明を求めるものがほとんどであった。全体的に,医療従事者の対応(説明)が十分であれば,電話相談を利用する必要がないと思われる例が多かった。
相談者の背景としては,保健知識の乏しさや情報に対する判断力の不足が示唆された。一方では,受診が原因で不安が生じている状況も示された。
以上のような状況は今後も続くと予想され,電話相談の需要は引き続き高まっていくと考えられる。カウンセラーとしては,電話の応対技術や医療知識の向上に努め,全人的に対象をとらえ援助するという看護の理念に立ち,相談者のニードに沿った適切なアドバイスを提供していく姿勢が必要である。
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