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要約
本稿では,前稿での分類に従って代表的な相談事例を選択し,相談者のニードや問題点を看護婦・患者の相互作用論セルフケア論の立場から分析し,それに基づいて,電話相談におけるカウンセラーの援助方法について検討した。
最も多い自覚症状に関する相談に対しては,相談者の背景や健康知識,実施している健康行動などを把握してニードを充足させる必要がある。相談者が必要な判断力を身につけるまでの指導継続が課題だと思われる。
また,受診後の不安に関しては,中立的な立場にたって,医師への質問方法や病院で得られなかった対処方法などを具体的に説明する必要がある。背後に本質的な問題を抱えている事例には,ケースカンファレンスをとおしてカウンセラーとしての感性を高めることが重要である。
健診結果に関する相談には,ポイントを押さえた結果説明で不安を除いた上で,健康行動への変容を促すような具体的な内容を付け加えれば効果的である。
メンタルな相談では,電話相談の一方通行に苛立ちや限界を感じる例が多く,継続利用を可能にできるような対応が必要である。
カウンセラーは電話という媒体の利点・欠点を十分に認識して,電話による応対技術も磨かねばならない。また,相談者の微妙な声音の変化や,言葉の意味するものに敏感に反応できる感性をも磨く必要がある。同時に,健康に関連した幅広い知識の習得にも,常に努力しなければならない。
カウンセラーの援助は,相談者を「受容」することが基本であり,相談にあたっては,支持的態度や理解的態度をとって応対することが望ましい。
また,カウンセラーの関心のありかたによって奥深いニードを察知し,真のニードを充足させるとともに,相談者の自己決定能力を高めることは,最も重要な役割である。
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