徹底分析シリーズ 素朴な疑問―これにて13件落着!
9件目―術前にワルファリンはいつ中止するか,その後はどうするか
鈴木 宣彰
1
SUZUKI, Nobuaki
1
1宮崎大学医学部 麻酔科
pp.224-225
発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101161
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●ワルファリン投与とPT-INRの関係
ワルファリンはビタミンK作用に拮抗し,肝臓での凝固第Ⅱ,Ⅶ,Ⅸ,Ⅹ因子の合成を阻害して抗血栓作用を示す。その効果は,プロトロンビン時間(PT),プロトロンビン国際標準率(PT-INR)で評価されるが,PTは第ⅦおよびⅩ因子に感受性が高く,第Ⅱ因子には感受性は低い。また,第Ⅱ,Ⅶ,Ⅸ,Ⅹ因子の半減期はそれぞれ50~80, 6~8, 24, 25~60時間なので,ワルファリン服用開始直後のPT-INR上昇は,最も早く代謝される第Ⅶ因子の活性低下を反映している。
止血能はそれぞれの凝固因子活性が40%あれば正常と考えられている。ワルファリン開始直後のPT-INRが1.5であれば,第Ⅶ因子活性が40%以上であることを反映しており,その他の因子活性はより高い状態である。したがって,PT-INRが1.5未満であれば止血能は正常と考えられる。
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