連載 今月のニュース診断
治療中止と患者の尊厳
斎藤 有紀子
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1北里大学医学部医学原論研究部門法哲学・生命倫理
pp.882-883
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100416
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羽幌病院の医師,不起訴
北海道立羽幌病院で,2004年2月,自発呼吸のない90歳の男性患者の人工呼吸器を取り外し,約15分後に死亡させたとして,2005年5月,34歳の女性医師が殺人の容疑で書類送検された(日経2005年4月27日ほか)。
これまで,医師による塩化カリウム投与(東海大学)や,筋弛緩剤の投与(川崎協同病院)など,積極的な投薬による患者の死亡が刑事事件となった例はあるが,「呼吸器取り外し」という,“治療の停止”領域にかかわる行為で,殺人との可能性が問われたのは初めて。多くの医療関係者は緊張し,ことの成り行きを見守ってきた。
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