連載 世界のフィールドから 健康づくりはボーダレス・4
住民の手による街づくり—スリランカの住民参加型活動
島本 護
1
1四国学院大学社会学部
pp.609-611
発行日 1999年7月10日
Published Date 1999/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902016
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はじめに
スリラン力民主社会主義共和国は,インドの南東端に位置する島国で,面積65,609km2(北海道の約0.8倍)人口は約1840万人を数える。首都は,国会議事堂のあるスリジャヤダナプラ・コツテ市とされる。しかし,主な省庁や大統領官邸,首相官邸などは,西に隣接するコロンボ市にあり,実質的な首都機能は今もコロンボ市にあるといえる。
コロンボ市の低所得者居住地域(スラム)開発は,住民参加の街づくりとして世界の専門家たちに知られる。1980年代に本格化した街づくりの試行錯誤が,1990年代に入って成果を見せはじめたからだ。日本でもスリランカの街づくりを紹介する論文,著作が増加してきた。
日本の政府開発援助(ODA)や民間開発団体(NGO)は,過去15年以上にわたりコロンボ市での街づくりに関与してきた。それらの開発援助事業は,現在も続いている。これまで50人以上の日本人がさまざまな立場で協力活動してきた。そのなかに,4人の日本人保健婦が含まれる。国際協力事業団(JICA)青年海外協力隊(JOCV)による派遣で2年間赴任した保健婦である。
筆者は1989年より1996年にかけての6年余り,開発ボランティアの立場で現地での街づくりに参与してきた。4人の保健婦のうち3人は筆者の共働者であった。その経験をもとにスリランカの街づくりについて報告することが,本稿の目的である。
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