特集 保健婦がしばしば使う用語を考える—住民参加・住民主体
住民参加の活動の展開
岩永 俊博
1
,
藤内 修二
2
,
田中 久子
2
,
柏俣 未尚子
2
,
山下 清香
3
1国立公衆衛生院疫学部
2国立公衆衛生院専門課程
3国立公衆衛生院専攻課程
pp.1103-1108
発行日 1993年12月10日
Published Date 1993/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900841
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はじめに
住民参加といえば,さまざまな情景が思い出される。たくさんの人が集まっている健康まつり。参加した住民同士で楽しそうに語らっている成人病予防教室。精神障害者のデイケアでは,当事者はもちろん,家族やボランティア,専門職などいろいろな人たちが一緒に進めている。あるいは,健康づくり推進協議会などで活発な住民の討議がなされている。
時には,たくさんの人が参加したことを指したり,または健康教育での教室活動でグループワークのような形で話し合いをすることを指したり,その話し合いで教室の内容や進め方を相談することを指したりする。だから「住民の参加を目指すべきだ」「住民本位の活動でなければならない」「生活者主体の活動が必要である」などの指摘があっても,それぞれに,「大丈夫ですよ,十分やっています」「私たちも住民参加ということを最も大切なものとして活動してきました」などの言葉が返ってくる。しかし,その指摘する側も,答える側も,そこでいう「住民参加,住民主体」の意味や考え方が違っていて,戸惑うことになる。
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