特集 災害時における公衆衛生—阪神・淡路大震災から学ぶもの
被災地ではいま—震災の教訓から学ぶ保健婦活動
宮本 保子
1
1兵庫県西宮保健所
pp.625-632
発行日 1996年8月10日
Published Date 1996/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901398
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はじめに
あの悪夢のような大震災から,はや1年半が過ぎた。初期の1〜2か月は,全国からの必死の支援を得て避難所巡回活動に埋没した日々であった。被災直後から4月末までの3000名にも及ぶ医師,保健婦らの支援は,被災者をはじめ地元の保健婦の支えとなった。
ライフラインの途絶のため誰もが汚れた手をし,飲み水にも困り,水洗トイレが使えず苦労したなど環境衛生が全くお手上げであった。昔,習ったウインスローの定義「公衆衛生はまず環境衛生から」といったくだりが記憶によみがえった。文化生活の日常に慣れ,当然のようにして使っていたガス,水,電気であったが,突然の原始生活の体験から,改めてこれらに感謝を覚えた。無事生きていることに,手を取り合い喜びあった。
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