連載 ジェンダーの視点から地域・生活を考える・4
漁師町に生きる人びと—ジェンダーで読む夫婦と仕事
中山 まき子
1
1鳴門教育大学
pp.326-329
発行日 1996年4月10日
Published Date 1996/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901349
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
私たちの暮らしの中には,個人の裁量や能力いかんにかかわらず,なにものかに阻まれ,規制されている社会の枠組みというものがある。その中でも特に「両性とその関係」を規制する枠組みを解明し,変革するために「ジェンダー」という概念は生まれた。その歴史は未だ短く,ジェンダーをどのような概念と定めれば,社会生活や日常生活の何が説明でき,どのような論理が成り立つのか,さらに問題が解決できるのかをめぐって,多々議論されている。私は日本のある漁師町の暮らしとそこで交わされた会話を,3相のジェンダー概念を用いて探り,この町の「両性とその関係」を規制している枠組みを考えてみたい。
なお,ジェンダー概念を意図的に3つの相に分けたが,これらは個別に存在するものではなく,批判的継承をとおして重なりを持ちつつ変化し,進展してきた。したがって各相によって現れる多様な“町の顔”は,それらを総合してはじめて“町の姿”になっていく。
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.