婦人ジャーナル
ある夫婦像
山主 敏子
pp.65
発行日 1972年3月1日
Published Date 1972/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204335
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羽仁進氏の"放任主義"という教育論の本を読んでいたら,その中に"教師は最低の教育道具である"という項があった。イギリスで10年近くまえ,大規模な授業研究が行なわれた結果,テレビなどの教育機器のほうが,教師よりもずっと成績のいいことが証明されたというのだ。それによると,テレビ授業に教師が補助的な役割をつとめる場合が最もよくて,次がテレビだけ,一番わるいのがテレビなしの教師だけだったという。
だが著者もそれだから教師はだめだとか無用だとか言おうとしているのではないようだ。小中学から高校,大学と,学年が高度になるほど,学習効果という点では,専門家の話を,具体的な実験なども加えて,テレビで伝えたほうがわかりやすいのは当然である。つまり道具としては教師は最低だが,人間としての教師でなければできないことを,教師にやってほしいと要求しているのだ。
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