連載 家族看護を創る—家族看護研究会での学び・8
家族の問題解決能力をどう視るか[3]
渡辺 裕子
1
,
鈴木 和子
1
1千葉大学看護学部家族看護学(千葉銀行)講座
pp.322-325
発行日 1994年4月10日
Published Date 1994/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900913
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●前回の事例の要約
Sさんは40歳の女性で,同居家族は,63歳の実母,52歳の婿養子の夫,20歳の長男の4人家族です。18歳の長女は町内に住み込みで働いています。昭和63年,Sさんが胆石の手術を受けたのを契機に糖尿病が発見され,排尿障害,身体が痺れて動かない,耳が聞こえない,目がかすむ,声が出ないなど多くの症状が出現しました。その都度受診をしましたが,原因は不明のままです。現在Sさんは,バルンカテーテルを挿入し,声も出ないまま在宅で寝たきりの生活を送り,最近では糖尿病の悪化もみられ,入院を勧められています。
一方,夫も以前から糖尿病,慢性肝炎,腰痛症などの持病があり,40歳の時から働けなくなり長男が仕事についた平成5年1月まで,一家は生活保護を受けていました。こく最近になって夫の糖尿病が悪化し,主治医から入院を勧められています。Sさんの介護は実母がしていますが,もともと家事能力に欠け,家の外と内の区別がつかないほど床は泥だらけで,悪臭がたちこめゴミが散乱しています。食事に関しても,料理をしている形跡さえありません。昭和63年当時にSさんの入院先のナースから,実母と夫の間に性的な関係があるのではないかとの声が上がっていましたが,平成5年に担当保健婦が玄関の戸を開ける実母の背後で,夫がズボンを上げるのを目撃しました。なお,長男はSさんにやさしさを示し,長女もSさんに愛情を示しています。
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