連載 家族看護を創る—家族看護研究会での学び・6
家族の問題解決能力をどう視るか[3]
渡辺 裕子
1
,
鈴木 和子
1
1千葉大学看護学部家族看護学(千葉銀行)講座
pp.150-153
発行日 1994年2月10日
Published Date 1994/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900878
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●前回の事例の要約
Tさんの家族構成は,妄想様の言動があり閉じこもりがちな生活を送るTさん(86歳),重度知的障害を持つ次男(49歳),うつ状態の孫(27歳),糖尿病の長女(57歳)の4人です。Tさんの夫は原爆症で,すでに死亡。Tさんが,かわいがっていた長男は,10年前に事故死しましたが,Tさんと長男の嫁は折り合いが悪く,孫(長男の息子)はずっとTさんに育てられてきました。
一方,長女は糖尿病治療中で,緑内障のため視力が低下しています。この長女は2人の子供のいる男性と結婚し,夫が借金を抱え,取り立てから逃れるために最近夫と離婚しました。次男と孫の3人で暮らしていたTさんは,家の立ち退きを余儀なくされ,長女の家に引っ越し同居生活が始まりました。当初は長女が何かと世話をやいていましたが,Tさんが長女に自分の立ち退き料を取られると思い込んだため2人の対立が激しくなり,2階にいるTさんら3人と階下の長女とは,ほぼ絶縁状態となってしまいました。
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