特集 保健・福祉の新たな関係—統合・連携の課題
ケアの必要な老人に対する保健活動と地域リハビリテーション—地域における連携を中心に
浜村 明徳
1
1国立療養所長崎病院
pp.281-287
発行日 1993年4月10日
Published Date 1993/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900675
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昭和53年,リハビリテーション(以下,リハ)専門職や保健婦などが集まり,長崎のリハ協議会が発足した。活動の基盤となる法制度もなく,試行錯誤の中で月1回の連絡会が始まり今日まで続いている。ここでは退院時の報告や退院後の生活状況に関する検討,さまざまな情報の交換が行われた。その結果,問題ケースでは,保健婦やPT・OTの同行訪問が試みられた。共同作業が実践され,“顔見知り”になることによって初期のネットワークが作られていった。連携の大切さは誰にでも理解できるが,その実践は容易ではない。在宅老人を所属も異なる多職種で支えるという活動は,初めての経験であった。
昭和58年より,県下で地域リハ推進の事業を開始し,かかわる地域も関係者も増えた。しかし,入と人とのつながりが濃い地域ほど,人の動きは論理より情緒に左右されやすい。この点を無視して議論を重ねてもネットワークは育たない。連携に多くのエネルギーを使いながら,それでも連携が進まないことを嘆き続けている。
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