特別寄稿
電話による高齢者の精神保健相談の現状とあり方[2]—事例を通しての考察
平吹 登代子
1
1東京都立中部総合精神保健センター
pp.139-147
発行日 1991年2月10日
Published Date 1991/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900197
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事例を通して電話による精神保健活動を考察する
筆者が電話相談業務を受け持つようになって3年目になる。当初は電話器の前に座っているだけで,緊張していた。受話器をとり,相談者からいろいろな情報を受けながら,いろいろな選択肢を次々と思い浮かべるが,その相談を自分自身で整理することができない。いつもパニックを起こしているような感じだった。また相談者の話に,十分「耳を傾ける」ことや,その話に疑問を持ったとしても「問いかける」ことなどができない状態であった。それに加えて,専門家として,正しい答を出してあげなければとあせっていた。
そのため筆者の場合,いつも相談者を待たせて,周囲の他の職員に依存し,答えを出してもらって対応する状態だった。今は他の職員に依存しすぎることも,専門家としての意識にとらわれることもなくなり,その場ですべてを解決させようとして責任を1人で背負い込みすぎることもなくなってきたと思う。
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