発言席
エイズ電話相談から保健婦への期待
五島 真理為
1
1HIVと人権・情報センター事務局
pp.257
発行日 1993年4月10日
Published Date 1993/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900671
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厚生省エイズサーベイランス委員会に報告されたHIV患者・感染者数は,1991年末から著しく増加している。主な感染経路が性行為であること,根治療法が不明であること,感染がすなわち社会的な死を意味するようなイメージが作られたことなどから,人々の多くが感染に関して恐怖や不安を持っていると考えられる。HIV患者・感染者に対する民間救援団体「HIVと人権・情報センター」では,日常的にHIV電話相談を業務としているが,毎年世界エイズデーに行っている“36時間AIDS電話相談”には,感染不安を含めた多くの電話相談が寄せられている。
1992年の世界エイズデーに寄せられた3100件の電話相談のうち70%が感染不安を主訴としていた。このうち80%が思い当たる行為を根拠としていた。相談の結果,検査が必須と判断された方は42%,感染の可能性が全く考えられず検査が不要と判断された方は34%であった。エイズ不安症候群は9%の相談者にみられた。また,検査必須あるいは検査希望者の71%が保健所を含めて検査ができる機関の存在または所在を知らなかった。私たちはこれらの相談に対して必要とされる情報提供や検査機関の紹介,カウンセリングを行っている。特にHIV抗体陽性者や必要と思われる方に対しては,面談などによるカウンセリングを継続して行っている。
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