研究
保健婦援助の専門性と固有性をめぐる研究—夜尿研究を素材にして—Ⅴ.保健婦の援助機能の展開—その統計的予備考察—
井上 龍子
1
,
佐瀬 美恵子
2
,
根来 千穂
3
,
日野 和江
4
,
政辻 洋子
5
,
宮西 すず子
1
,
山岡 みどり
6
,
本村 汎
7
1大阪市東淀川保健所
2大阪市住吉保健所
3大阪市阿倍野保健所
4大阪市鶴見保健所
5大阪市平野保健所
6大阪市北保健所
7大阪市立大学生活科学部
pp.75-79
発行日 1987年1月10日
Published Date 1987/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207275
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要約
夜尿児への援助構造について説明しておきたい。夜尿発生の原因については,「夜尿発生のメカニズムをめぐる説明モデル」でも指摘したように,まず養育態度をめぐる要因を第一次的要因としてとらえ,子供のパーソナリティを第二次的要因としてとらえた。そして第一次的要因と第二次的要因の相互関係についても考察を行った。
次に夜尿児への援助としては,援助介入の水準と援助介入の焦点とを設定して援助を構造的に行うよう試みてみた。その結果を要約すると,夜尿発生の病因論的特徴は第一に母親の子供の発達に対する知識不足と,母親が自分にとって都合のよい育児を行うことなどにより,養育態度が過保護,過干渉になっているところに求められる。第2の特徴は両親のパーソナリティの未熟さ,神経質さがあげられる。第3の特徴は子供に第1と第2の特徴が反映されるかたちで,性格の上で未熟になっており,また排泄機能などの体の面においても発達の遅れがみられることにある。
次にわれわれの行った援助内容であるが,援助介入の水準としては母親に夜尿および子供の発達についての知識を提供したこと,そして母親が自分自身の養育態度についての洞察を深め,このことにより母子関係が改善されるところまでひろげた。また援助介入の焦点としては,年齢相応のしつけの方法,および,排泄訓練の方法などを設定した。
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