連載 保健婦のための調査理論・1【新連載】
保健婦の専門性とその機能
青山 英康
1
1岡大医学部衛生学教室
pp.39-43
発行日 1980年1月10日
Published Date 1980/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206202
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I.はじめに
最近久し振りにある地区での保健婦研修会に参加させて頂いて,各県の代表の研究報告をすべて聞かせてもらった。"久し振りに"というのは,ここ数年努めて保健婦の研修会には出席しないことにしていたからだ。その理由は,公衆衛生学を専攻する者として保健婦の活動や調査には当然強い関心は持っているものの,これに対する批判や助言を求められても結局は"保健婦ではない医師の発言"として無視されないまでも軽視されてきたと思われたからである。これは決して"ひがみ"で言っているのではなく,公衆衛生という共通の分野にあるとはいえ,医師と保健婦という互いにその基盤となる専門の分野を異にしている以上,保健婦自らの手でその専門分野は開拓すべきであって,外野からとやかく言うのは当分差し控えたいと考えたからである。
しかし,長年高知女子大において"調査理論"を担当して講義をし続けている者として,一度はその論理の体系を現場で活動している保健婦に披露して,幅広く批判を受ける責任があるのではないかとは思い続けてきた。今回書くきっかけを作ってくれたのが,前記の保健婦研修会であり,また某県での研究グループの活動に"調査理論"のチューターを依頼されたからである。
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