発言席
望まれる心の医療
佐藤 エミ子
1
1あせび会(稀少難病者の会)
pp.889
発行日 1981年11月10日
Published Date 1981/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206429
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激しく気象条件が変わる時,そしてお正月,ゴールデンウィーク,暑中休暇のあと,きまって我家の電話のベルが鳴りつづける。家族がそれぞれの持場に帰っていき,病人は再び単調な生活に戻るその時,数日間の緊張がほぐれ,疲労と共に取り残された不安と孤独感におそわれる。それは社会生活からの疎外感でもあり,脱落者としての自分を意識する一時期なのである。
そんな時,何とかこの体が元に戻らないだろうか,といういらだちから我家のダイヤルをまわす。患者をかかえた家族もまた同じ心理に陥る時でもある。病むということは,喘ぎもがきながらも,こうして日一日と社会生活から遠去っていくことなのであろうか。
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