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立場,枠,状況…………気になる近頃
龍野 由子
1
1長野県上水内郡信濃町
pp.622-624
発行日 1979年8月10日
Published Date 1979/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206155
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最近,年をとったせいか,立場とか,ワクといった状況について,一応気にしてみることが多くなった。少し前までは,先輩たちが今の私のような気持を何かの話の中で具体的に表現しようものなら,たらまち血が逆流してしまい,揚句の果ては,自分の精神衛生を極度に悪化させるにすぎなかった。おそろしく空虚な気分になり,しばらくは口をきくのも嫌になったり,心の中でありったけののしったりして自分をなぐさめたものだった。それが今はどうだろう。ある意味では,大変なさけないことに,"そういう立場もあるだろうさ……"と割りきってしまうのだ。これは,生き抜くための技術として,いつの間にか身についた,きわめてずるい処世術かもしれない。すなわち,"妥協"という名の逃げ道をあまりにも安易に通りすぎるようになったのだ。5月号の山崎さんのHealth by the Peopleを読み,最近の自分の状況について若干の反省をせまられた。が一方今の私の状況は,たしかに私の十余年のつみ重ねから変化してきたものでもある。
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