巻頭言
近頃思うこと
北村 和夫
1
1順天堂大学医学部内科
pp.451
発行日 1967年6月15日
Published Date 1967/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201777
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昨年10月,思いもかけず,一生の恩師でもあり,伴侶でもある山川邦夫教授の急逝に遇い,以来約半歳,講座担任代行を命ぜられて,諸種の難問が,巨濤のように,一時に,押しかぶさってきて,目のくらむ思いで立ちすくんでいる実情である。
内科専門医制度,内科講座制度のあり方についても,陰ながら故山川教授に進言もし,一緒に討論もしてきたが,故教授の急逝後,順天堂大学においてはにわかに具体化し,学長・医学部長の強い要望で内科一本化,専門別講座化が進められるに至った。この構想は,実は山川教授がもっとも実質的な推進者であったのだが,本邦内ではいわば最初の試みであり,むずかしい問題を含んでいる。慶応大学内科,京都大学内科がやや似た形式ではあるが,実情は必ずしも真の専門別化,これを総合した一本化ではないようであり,従来の講座制度に対する考え方をある程度根本的に変改せねば,この制度は成立しないように思われる。大学の講座制は教育を表看板にするものであるが,その実質は研究を主体にしており,内科医の教育,診療の面では運営に矛盾の生ずることがある。
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