扉
近頃想うこと
橋場 輝芳
1
1札幌医科大学脳神経外科
pp.907-908
発行日 1977年8月10日
Published Date 1977/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436200678
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最近脳神経外科の領域はRIスキャナー,CTスキャナーなど頭蓋内疾患診断に有力な機器類が開発されることによって手術の決定や,予後の判定に関して著しく医師をして勇気づけるものがある.かつて気脳写,気室写,脳血管写などが開発されて頭蓋内変化の情報をうることができて脳神経外科領域が驚くほど進歩した時以来の快挙である.
ただ最近こんなことが取沙汰されている,それは医療とは元来,医師と言う一人の人間と患者と言う一人の人間との間の信頼感にたつものであるにもかかわらず科学の進歩にともなって機械が医師と患者の間に介入してきて,著しくその信頼感を稀薄なものにしつつあると言うのである.言いかえれば医師はしだいに患者をデーターと見なしがちになり,患者は医師の診察をうけたと言う実感を失いつつあると言うのである.
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