事例研究
言語発達遅滞児2症例の育児環境調整に対する保健指導の検討
伊藤 千代子
1
,
杉浦 静子
1
,
坂本 弘
2
1三重県立看護短期大学
2三重大学医学部衛生学教室
pp.625-634
発行日 1979年8月10日
Published Date 1979/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206156
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従来,身体的疾病の部分症状として言語発達障害があらわれている症例は医学的治療の対象とされ,育児環境起因性のそれは心理療法により援助されてきた。しかし,心理療法をおこなう社会資源はいまだ乏しく,需要症例の一部が援助を受けていたにすぎない。
一方,地域における保健活動の場では,1〜2歳児の養育者からの言語問題に関する相談は多い。すなわち,2歳児の健康相談項目のうち,言語発達の遅れは頻度が高く1),この10数年の間,発生頻度が増加傾向にある2)。また一方,言語発達障害は児の情緒および社会性の発達の阻害因子となる。したがって,言語発達障害の発見が早期であり,二次的障害を招かない間に治療が開始されていることが望ましい。このような意味から地域保健担当者がこの保健要請に対応しなければならない必要性が高まってきている。
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