特集 訪問看護を考える
家庭における病人看護
山口 寛人
1
,
浅地 忠
2
,
小林 富美栄
3
1全国社会保険連合会
2鳴和社会保険総合病院
3東京女子医科大学看護短期大学
pp.22
発行日 1973年1月10日
Published Date 1973/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205205
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まえがき
国民健康保険における看護サービスには,被保険者が病院・診療所などの医療機関内において医療を受けることに伴う看護と,医療機関外,すなわち,市町村地域の家庭にいる被保険者に対する看護とがある。看護とは単に病気をもった状態の人の回復に対する援助行為のみでなく,健康の保持・増進のために看護専門職者が働きかけをすることをも含めるものであるが,本課題では,医療機関外にある被保険者の疾病・異常状態時に対する看護サービスを主体としたものについて取り上げる。特に,この場合,国民健康保険に所属している看護職種である保健婦が,被保険者である在宅療養者に対する看護の働きかけの症例展開についての研究の対象とする。
保健婦の活動は,公衆衛生看護活動の主体的なものであるが,国民健康保険事業におけるその位置づけを明確にし,今後,この事業が地域における保健・医療サービスに相当する保障的立場において,看護の機能を有効に行使するための方向を,今日,看護の働きかけの必要性が最も高いと推察される対象におき,専門的なレベルの看護方法を個々の対象者に適応させて具体的に行ない,療養者の回復の支援と家族の大きな問題解決を図ること,ひいては,国民健康保険事業の運営に有意義となるような看護サービスを体系化しようと試みるものである。
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