--------------------
病人と病気
長谷川 泉
pp.62
発行日 1961年5月10日
Published Date 1961/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202333
- 有料閲覧
- 文献概要
ちかごろは,学会がますます細分化され,専門化する傾向にある.1例をとつてみよう.内科学会という大学会はあるにはあるが,内科学という大領域は,それがさらに細分されて脳神経や循環器や消化器や結核病や内分泌などという学会に分かれている.脳神経のなかでも,外科と関連のある部分は,とくに脳神経外科という学会までできている.消化器なども.さらに分かれて肝臓だけが独立の学会になるといつた具合である.したがつて,内科の専門医で,消化器に関心を持ち,さらに肝臓の研究家は,まず肝臓学会に目をそそいで,消化器学会をのぞき,内科学会にも加わるといつた具合になる.
そうなると,学会の演題なども,肝臓の専門研究家なら,肝臓学会に提出し,その次の関心は消化機学会(消化器学会とはいわない)にそそがれ,最後に内科学会ということになる.かくして,大学会である内科学会は,専門学会でひろわれないような二次的な演題が集まるといつたことにもなりかねないありさまである.このようなことは,いつたい学会のあり方としては,歓迎すべきことなのか,あるいは困つたことなのであろうか.
Copyright © 1961, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.