連載 私と読書
病人のための医療とは—「日本の医療:病人は告発している」を読んで
佐々木 スヅ子
1
1国立函館病院産科
pp.62
発行日 1973年10月1日
Published Date 1973/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204597
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本書の冒頭に「医療は医者と病人との信頼がなければなりたたない」とある。また「医者の目標は病人の信頼によって病人にはできない医療を代行することである」とし,「治療についての同意,不同意の選択は病人がする」ともある。
このごく当たり前とも思われることが,実際の臨床において実行されているだろうか。病人は病気の治療を医者に委ねた時,最早そこには自己決定権の力が弱くなる。なぜなら治療を受ける場合,病人は選択できる知識を医者から与えられているとは思われないからである。
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