視座
病気か病人か
岩谷 力
1,2
1前 東北大学大学院医学系研究科肢体不自由学分野
2現 国立身体障害者リハビリテーションセンター更生訓練所
pp.657-658
発行日 2002年6月25日
Published Date 2002/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903558
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医者の目の前にいるのは患者さんで,病気ではない.患者とは身体的不調をもって生活し,医師に助けを求めてきた人々である.「医者は病気の治療には熱心で,病人を診てくれない」と社会から批判されて久しい.この批判にわれわれはどのように応えようとしているであろうか.名医と言われる先輩の講話を聞き,患者さんの闘病体験を読み,われわれの行動を反省すれば,患者さんの要望に応えることができるのだろうか.医師は正しい医学知識に基づいて診断治療を行うことが求められている.もしかして,われわれが正しいと教えられ,行動規範としてきた医学の考え方に,その要因があるのではなかろうか.
2001年5月に,WHOは国際障害分類(ICIDH:1980)を改定して生活機能・障害・健康の国際分類(International Classification of Functioning, Disability and Health:ICF)を発表した.ICFは健康状態の変化(疾病)が人の生活機能に与える影響を,心身機能・構造,活動,参加の各次元で価値中立的にとらえるモデルである.
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