特集 訪問看護を考える
国民健康保険保健婦の活動状況
pp.23-28
発行日 1973年1月10日
Published Date 1973/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205206
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保健婦の設置
国民健康保険制度は,農山漁村および都市中小商工業者の医療を確保するために,経済的不況の昭和13年に創設された。その当時,市町村区域には1,000人余の保健指導業務に携わる者がいたが,国民健康保険が医療給付のみならず,疾病の予防のための活動が必要であるとされ,国民健康保険組合の保健婦となった者もあった。昭和16年12月の調査では,組合数約900に対し,344人の保健婦が設置されていた。昭和17年,組合設立が制度普及を図るために強化され,18年には組合数は6,500余,国庫補助金交付の保健婦数は2,632名となった。20年,21年は最も組合設立が盛んであり,組合数は1万を越し,国庫補助交付による保健婦数は9,700人余になったが,このあと,22年には,組合事業の不振時代がきて,保健婦の数は急激に減少した(表1)。23年に市町村公営によって国民健康保険事業が運営されるように法律改正が行なわれ,崩壊の危機を脱した。保健婦も市町村吏員としての身分を得て,不振時代における不安定感はうすらいだ。保険財政の健全化が図られるとともに,保健婦の実働数もしだいに増加してきた。
表2の就業保健婦数によると,わが国の保健婦の実働数の約80%が,保健所,国民健康保険に所属する保健婦で占めており,最近数年間,両機関の保健婦数はほぼ等分の割合を保っている。
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