特別寄稿 問題提起として
保健所機能をめぐる諸問題—現状および将来の方向
安西 定
1
1厚生省保健所課
pp.50-56
発行日 1967年12月10日
Published Date 1967/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204078
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はじめに――問題のありか
近年わが国の公衆衛生が転換期に入り,保健所が重大なエポックを迎えているといわれているのは2つの主な要因がある。すなわち第1は近年における高度の経済成長を背景とした都市化,工業化の進展と,その反面生じた地域格差,階層間格差の増大,人口構造の質的,量的変化と国民の疾病と死亡の様相の変化や市町村合併などによる地方行政機関の整備などにみられる社会的経済的条件の大きな変動がある。このような時代に相応した公衆衛生のあり方なり第1線機関たる保健所の役割と機能に対する国民的社会的要請があること。また第2の要因は,いわば内的なものであり,戦後20年におよぶ保健所を中心とする新しい公衆衛生の体制における実践と実績を通じてようやく地についた反省,ないし研究検討が行なわれるにいたり,種々な問題が提起されていることであると思われる。
このような2つの要因をふまえて,今後の公衆衛生ないし第1線機関である保健所の性格,役割,機能と具体的な業務などを論じ,重要なこの時期に対処していくことが必要であると思う。
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