第7回精神医学懇話会 精神科診療所をめぐる諸問題
主題提起
精神科診療所をめぐる諸問題
立津 政順
1
1熊本大学医学部精神神経科
pp.5-5
発行日 1969年1月15日
Published Date 1969/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201422
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日本では,一方では研究・教育の病院が少なく,他方では全国的に精神科病床数が充足され,従来の形の精神病院の開設がとくに地方においては困難となつてきた。このような状況の下で,大学の若い教員室にその将来について希望をもたせ,学生の中から精神科志望者を多くひきつけるためにはいかにすべきかということについて,1966年の九州精神神経学会(鹿児島)のさい,西日本の大学の精神医学講座担当の教授が集まつて討議した。それに対する一つの方法として,精神科の小規模開業ということが考慮にあがった。そして,小規模開業方式には地域社会の住民と密着した精神医療,従来の大規模精神科とは異なつた働きが期待されること,精神科患者も急性患者として診療所でも治療さるべきであるということなどが論ぜられた。結果として,小規模開業方式の精神医療における必要性を明らかにし,診療所のありかたについての関係当局への要望書の草案の作製が私に任せられた。それ以来,このことに関し,熊本市に精神科・神経科診療所を開設している寺岡肇君の意見を求めてきたのであるが,問題は診療費など法規の改正に関するところにある。どして,要望の焦点を精神科だけの問題にしぼりきれず,要望書作製の任も果たせぬままこんにちにいたつている。そうしたところへ今回,医学書院の精神医学懇話会が診療所をめぐる諸問題をテーマとして取上げ,討論者になつてくれと私に要望がなされたしだい。
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