保健婦さんへ 期待と提言
時代の流れにそった活動を
木村 亮太郎
1
1千葉県鴨川保健所
pp.9
発行日 1967年7月10日
Published Date 1967/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203965
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近年における社会情勢の急速な進展により,今日の公衆衛生学は,単に医学の一分野であるにとどまらず,自然科学,人文科学のあらゆる領域を包括する,いわゆる「人間生態学」として理解しなければ,とうていその実践目標にいたる活動の多面性を論ずることはできない時代となった。したがって,公衆衛生活動の担い手である保健婦は,当事者各自が,いまや,こうした基本的諸問題の変遷を十分に理解納得し,広い意味での職場環境変化に適応できる態勢をとらざるを得ない状況におかれているというべきである。
現在にいたるまでの保健婦活動は,それぞれの立場における保健婦各位の,時と所を問わない,ひたむきな努力によって,魂を打ち込んだ多くの業績を世に送りつづけてきた。戦後の混乱期より現代までの,各種衛生指標値の画期的な改善は,それがそのまま,公衆衛生分野における保健婦の辛苦の賜であることを,あますところなく立証している。しかしながら,年ごとに複雑多岐の様相を加える近代社会情勢は,一方では,とみに公衆衛生第一線担当者に,その医学面以外の問題点の数々を提起するようになり,ここに直接住民と接触する保健婦は,新たな課題と,つねに対決せざるを得ない立場になってきたのである。
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