事例 保健指導を科学する・7
保健婦活動の事例をもとにした社会学,社会心理学,臨床心理学的な考察
特殊社会の人と心理
波多野 梗子
1
1東大・保健学科
pp.76-78
発行日 1966年8月10日
Published Date 1966/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203726
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ここに示されたのは,結核患者が数回の入院にもかかわらず,いろいろな理由から退院してきてしまい,保健婦の努力もむなしく治療の効果があがらないといった事例として理解されよう。このように,何回入院しても,酒を飲んで注意されたのに腹をたて退院したり,同じ部屋のものとけんかをして刃物を持ち,たちまわりをして退院させられる原因は何なのだろうか。事例の提供者は,これからの指導方針として結核への知識を与えること。十分な治療計画のもとでの精神的な援助をあたえることをあげている。しかし,私はここでもっと根本的であるかもしれない原因として,この患者が同和地区に住んでいる人であることを考えてみたい。
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