連載 保健と社会・5
価値=態度体系における健康の問題
奥田 道大
1
1東洋大学・社会学
pp.69-73
発行日 1966年8月10日
Published Date 1966/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203724
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■社会階層別小児マヒ,ワクチン注射実態
1959年,青森県八戸市の小児マヒ(ポリオ)の爆発的大流行に端を発し,いわゆる母親たちの小児マヒ斗争が3年間にわたり展開し,「子供を小児マヒから守る協議会」が随所に誕生,生ワクチン実施を要求する署名,陳情,集団坐り込みなどの運動が全国的に波及したことは,未だわれわれの記憶に新しいところです。小児マヒをはじめとして,ガン,結核,赤痢,コレラ,流感,公害などの集団的な健康障害問題にたいする地域住民の価値的態度なり行動を把握することは,主要な課題ですが,いま米国の国立精神衛生研究所の実態調査資料を中心に,問題の一端をさぐってみることにしましょう。
同資料は,ワシントンD. C郊外のある町の5つの公立小学校における,二学年児童をもつ主婦についての面接調査です。研究所のディアズィ(Leila Calhoun Deasy)らのスタッフは,小児マヒ・ワクチン注射実施についての受容れと拒否をめぐる主婦の価値的態度と行動を,社会階層別にとらえています。社会階層は上,中,下の3グループに分けられていますが,判別の指標としては,世帯主の職業がえらばれ,その威信的序列に応じて,最高の12スコアの専門的職業から,最低の2スコアの未熟練労働までがふくまれています。
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