整骨放談
姿勢と態度
山田 憲吾
1
1徳島大学
pp.1052
発行日 1979年10月25日
Published Date 1979/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906011
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本誌12巻10号の本欄に京大伊藤鉄夫名誉教授の「天平の仏たちの姿勢」なる一文が掲載されているこの中で氏は「古仏像の示す特有な姿勢は緊張性頸反射なる一連の基本型に合致し,これが像に秘められた心の動きを強く表現している」という意味のことを述べておられる.多分,氏はこの仏像鑑賞を通じ,仏に具わる「こころの構え」なる形而上の事項と,像に具現された「からだの構え」なる形而下の事象とが,深く関わつていることを感得されたのではないかと思う.いずれにしても「心と身との関わりあい」は哲学上の古い命題であつたし,医学上の新しい課題でもある.しかし,その思索には必ずしも特定な場があつたわけではないようである.それ故,教育現場のような身近かな日常経験の中からもこれに類する課題が見出されてもよいと思う.そこで,おこがましくも「姿勢と態度」なる標題を掲げここで検討することにした両者は同意語としても使用されるが,ニュアンスの相違もあり,必ずしも同一ではない.ここでは辞書の多数が示す所に従つて言葉の意味を選び使用することにした.
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