特集 現代社会と精神衛生
精神障害者の心理
小林 八郎
1
1国立武蔵野療養所医務部
pp.26-29,35
発行日 1964年10月10日
Published Date 1964/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203222
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はじめに
精神障害者の心理を問題にする場合,2つの問題分野が考えられると思う.1つは,精神疾患の発病の原因となったり,精神症状をあらわしたりする心理機制であり,他の1つは,精神障害者が示す日常生活の心理である.
これでは,問題のたて方がよくわからないかもしれない.たとえば,神経症は前者の例である.後者の例としては,たとえば,分裂病者の示す日常的な生活行動がある.そこには,必ずしも,分裂病人格や分裂症状を,そのまま反映したものとは考えられぬ現象があるものである.分裂病では,分裂的人格の核心から,その全行動が理解されるように考えられがちであるが,人間の心は,そのような狭く,固定した単純なものではない.
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