障害者の心理面の支援

　リハビリテーションは多くの専門職のチームワークが大切である．それぞれが専門馬鹿になり，相互の協力に予想しない隙間ができると，とんでもないことが起こる．

　40歳後半の脳性麻痺患者を車椅子に乗せた70歳過ぎの母親が来院し，「多くの病院・施設にかかったが，プラトウに達したから理学療法を受けられない．この息子が治らなければ，私は死ぬに死ねない」とのことである．すでに十分な医療を受けられており，さらに理学療法を続けると治癒するが如き薔薇色の夢を持っておられる．前向きなことは理解しながらも，現実離れしている根底には疾患の否定・軽視，不満など心理的動揺があり，この方面の支援の欠如があり驚かされた．