特集 高血圧をさぐる
在宅脳卒中患者の看護と保健指導
小池 晶子
1
1大阪府立成人病センター調査課
pp.16-19
発行日 1963年10月10日
Published Date 1963/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202937
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はじめに
脳卒中発作を経験した患者はどのくらいいるでしょうか.はっきりした数はわかっていませんが,36年秋に行なわれた厚生省による成人病基礎調査では,全国の後遺症患者は31万人と推定されています.また,私たちが去る36年吹田市において調査した結果では,片麻痺を経験したものが人口10万対300人,うちねたきりのもの40人,坐っていられるもの30人,一人で便所にいけるもの40人で,あわせて40%のものは日常生活にひじょうな制約をうけています.吹田市は脳卒中の死亡率が人口10万対111(管内の養老施設を除く)と比較的低く,死亡率の高い地域では患者数も異なってくるものと思われますが,歩行不能な患者だけについても年間死亡数の約6割,すなわち全国では9万ないし10万人の患者がいるのではないかと推定されます.
このように多数の患者が地域で闘病生活を送っている以上,保健婦の活動としても成人病が結核,母子衛生などとともにゆるがせにできない分野の一つであることはいうまでもありません.多忙な保健婦としてこれ以上業務の範囲を拡大することはひじょうに困難ではありますが,昭和35年および37年の両年度について私たちが全国の保健所にアンケート調査を行なった結果では,特に国保,市町村の保健婦で実際に訪問を試みている例が少なくなく,今後ともこの分野の業務が増加する傾向にあると思われます.
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