研究・報告
脳卒中在宅患者の実態
工藤 裕弘
1
1岩手医科大学公衆衛生学教室
pp.65-69
発行日 1965年9月10日
Published Date 1965/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203468
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緒言
昭和26年以降,わが国における国民死因の第1位は,中枢神経系の血管損傷(簡単分類,B22)によって占められている.この発作によって数時間以内に死に到る者も少なくないけれども,死を免れて生き長らえる者もまた少なくない.したがって,この原因による死亡者の数が増加してきていることを示す統計的事実は,一方では,脳卒中生存患者の数も増加していることをきわめて強く暗示している.それにもかかわらず,脳卒中患者の後療法およびリハビリテーション対策はなんら講じられていないといってもよい現状である.
とくに,在宅患者については,その実態さえも明らかにされていない.この事実は,福田も指摘しているように1),対象者が在宅就床患者であるため,これを訪問して調査しようとすると,任意出頭による集団検診の場合と異なって個人のプライバシーにも関係することがらが介入してくるなど,その実施がきわめて困難なためである.それゆえ,脳卒中在宅患者の実態に関する報告はひじょうに少ない.そして,既往の実態調査報告は,地区開業医に調査を依頼したり,あるいはまた地区担当保健婦の報告による資料にもとづくものが大部分を占めている1,7,8,9,10,11).
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