特集 高血圧をさぐる
高血圧とはどういうものか—その成因・症状・治療法
秋山 房雄
1
1大蔵省印刷局東京病院第2内科
pp.13-15
発行日 1963年10月10日
Published Date 1963/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202936
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どうして高血圧になるのか〈成因〉
高血圧が,結核における結核菌のように,単一の原因によってできあがるものでないことは,すでによく知られているところであります.すべての慢性疾患と同じように,その原因はさまざまであり,その上,これらのものがお互いに複雑にかみ合わさっておりますので,その全貌はどんな具合になっているのか,現在わたくしたちのもっているすべての知識を動員しても,学説の範囲を出ないのであります.たとえば食餌,その中でも特に食塩の問題は,高血圧の成因の中でも重要視されているものの一つでありますが,この食塩説ですべての高血圧の成因を説明することはできません.同じようなことは,精神医学的な面や,遺伝学的な面の要因についてもいえるのであります.つまり,これらの要因はそれぞれ重要な要因ではあっても,それだけできまるものではないのであります.アメリカのページは,高血圧の要因として63もあげております.また,ニュージランドのスミルクは,高血圧を起こす疾患は本態性高血圧症のほか25の独立した疾患があるといっております.このことからも高血圧という症状,またこれを主要症状とする高血圧症の原因をつかむことのいかにむずかしいかはわかります.
ところでさきほどのページは,数年前から高血圧の成因に関するモザイク説をとなえております.
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