特集 高血圧をさぐる
高血圧検診の二つの反省
若月 俊一
1
1佐久総合病院
pp.20-25
発行日 1963年10月10日
Published Date 1963/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202938
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批判すべき二つの面
今日,なぜこの限界を論じなければならないのか.特に農村などでは,高血圧検診はひじょうな重要性を持っている.それなのにその限界を論じうというのは,おそらくは最近高血圧の検診をさかんに行なうようになったのはいいが,その結果幾多の失敗が出てきた.あるいは管理に行きすぎがあった.あるいは検診の方法に至らないところがあった.それを批判しなければならない面がでてきたということ.もう一つは,以上の技術的な問題も含めて,検診従事者の努力にもかかわらず被検者のほうの協力体制がととのわず効果が上がってないという現実.いわば被検者の主観的条件がまだ熟してないかのように見える面.この二つの面からの反省を加え,この限界をどううち破ったらいいものかについて考察してみたい.
農村の第一線で働いている私としては,今日この高血圧検診というものをcommunityの中で行なうことの必要性をだれよりも痛感している者である.それゆえ,その限界を論ずるには,私は不適当な立場にあるものかもしれない.しかし,その立場にあればこそ,またその実践の経験の中から幾多の批判すべき点をつかみ出し,それに十分な考察を加える必要があるともいえよう.
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