色ページ 保健婦学生の手記
狼森部落のこと
植木 ユリ子
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1都立保健婦助産婦学院保健婦科
pp.49-50
発行日 1962年5月10日
Published Date 1962/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202574
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「北海道の帰りに見学してみませんか,弘前市より少し離れた所ですが,立派な村づくりや農村の公衆衛生活動がみられますよ」夏休みを利用して,北海道の保健所見学に行くことについて何回か学院長先生の所に行つていたある時,何げなく先生にいわれ,初めて鳴海先生のこと,狼森部落のことを知つたのである.幸い,北海道の帰りには通る所であり,いろいろ先生から説明され,興味があつたので,友人二人と見学することにした.
8月4日,朝,二晩夜行が続いたので気分はよくない.9時頃三人で鳴海病院に到着した.弘前駅よりバスで10分くらいの所であつた.ていねいな接待を受け,旅の途中のしわくちやのスカートやうすぎたない靴がちよつと気になつた.この鳴海先生は昭和7年兄弟一岡で協議の結果,昭和4年に設置した救護部(鳴海病院内)を改めて,鳴海研究所社会事業部を設立し,大正12年以来実施してきた育英,救護事業,救療を組織化された.その後健康相談,保健指導,衛生教育,生活改善など積極的に社会事業に専心し,社会福祉の増進に奉仕されたが,さらにみんなが健康で幸福な村を,町を,国をつくるために,身体的にも,精神的にも,経済的にも余裕のある生活の建設を目標として昭和20年12月財団法人鳴海研究所清明会を設立されたのであつた.その事業の一つとして私達が見学した狼森部落に農村保健館がある.
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