特集 生活をゆたかに
欧米映画にあらわれた愛することの悦びと苦しさ
清水 千代太
pp.39-42
発行日 1961年1月10日
Published Date 1961/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202252
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夫婦の関係は結婚という契約によつて成立し,夫という一人の男と妻という一人の女との,死にいたるまでの愛情を保証し合うことを基礎としている—あるいはそうあるべきだと,たとえばキリスト教は規定している.夫婦生活,家庭生活は,この規約の上に安定するのが常態である.
ところが現代人,第一次・第二次の世界大戦を経て,現代人の生活は上述したような安定をいつも保つことが難しくなつてきた.これには社会学的な,あるいは心理学的な原因—それも単純ではなく複雑に作用し合う原因があつて,このようなバランスの破綻をきたす結果となつたのだと思われる.それは当事者の各自,夫なり妻なり,あるいは夫も妻も,いちがいに責められない場合も,たびたび見られるようである.戦前からの古い道徳律の定規を当てはめて,きびしく責任を問うには,あまりに複雑であり,デリケートであるのではないだろうか?
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