連載 Coda de Musica 心に響く音楽療法・4
愛する家族の最期に何を贈りたいですか?
三道 ひかり
1
1東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学教室
pp.330-333
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208875
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最後の贈り物
嫁入り道具.嫁ぎ先での苦労をしないようにと,母から嫁いでいく娘へ,さまざまなものが贈られる.育った家から離れ去っていく娘を想う母の気持ちが,嫁入り道具へと形を変える.これと同じように,ある「最後」の瞬間に,儀式やさまざまなものが記念として私たちに贈られる.定年時には退職金が会社から贈られ,卒業時には卒業式が執り行われる.儀式や贈り物は,最後を迎える人のみならず,その最後を見届ける人々にとってもかけがえのないことである.
相手への想いをさまざまな形にして贈り,最期を見届ける.終末期を迎える患者さんの家族からもその想いは感じられた.愛する家族の最後に自分の想いを伝えたい.その想いを何らかの形にしてあげたい.でも,患者さんは出かけることも食べることもできない.音楽はそのような時,家族の想いを受け止め,答えることができる宝物である.
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